勇者? ああ、勇者ね……
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仮死男
どこぞの世界の果ての果て……ではなくて人里からそんなに離れていない場所に、それなりに古くて大きい城っぽい館が建っていた。かなり前から建っていたその館からは、人の気配はしないうえに、そこの住人の姿は誰も見たことがない。近隣に住む人々の間では、『どっかのお金持ちが道楽で建てたはいいが、飽きてそのまま放置された』という噂がまことしやかに流れていた。事実、塀の塗装はあちこちはがれ、つる草は伸び放題で館の壁を覆い尽くしていた。
まさかそんな館に、魔族の王〈魔王〉住み着いているなど、誰も思いはしなかった。
*
「あ〜、ティガ○ックスそっちにいったわ」
「……おK……、把……握」
「ちょwwwww回復薬きれたwwww死wwねwwるww」
「だいじょうぶですか?」
「とか言いながらボウガン構えるなwwwwwなに?www死ぬの?wwwww」
「そんなこと言ってる間に死んでるぞ?」
「こ、こに……バカ…………一匹」
「なんのwwww私は帰ってくるwwww」
「あ、倒しました」
「NOOOOOOOOOOO!!!!!!!」
おおよそファンタジーらしからぬことを言いながら○ンハンに勤しむこいつらは、セリフ初めから『魔王』『吸血鬼』『悪魔』『堕天使』である。
なんでこいつら魔王城にいねーの?とか思ってるあなたにお答えしましょう。この四人は、「勇者の相手がメンドイ」の一言で、城から抜け出してきたのだ。それも百年前から。ほかの魔物とかま魔族たちはちゃんと魔界に避難してるから、一応問題はない。で、こいつらは百年間ずっと、どこからか手に入れてきたゲーム、アニメ、マンガ、ラノベ三昧の毎日を送っているのである。
「そういえば……」
素材を手に入れ満足顔の魔王が、思い出したように切り出した。
「城はどうなってんのかねぇ?」
「大丈夫だと思いますよ」
答えたのは堕天使。
「あそこは、私たちが発つ際に罠を仕掛けておきました。あの罠を突破するのはまず不可能です」
「そういえば、俺たちがそれぞれ一つずつ仕掛けたんだったな」
「それもwwwwテラ鬼畜なwwwwね。勇者ざまぁwwwww」
「…………フッ」
いつのまにやら復活した悪魔と、鼻で笑う吸血鬼も会話に加わる。」
「気になったんだが、おまえらどんな罠をしかけたんだ?」
「では、休憩がてらお話ししましょう」
*
「まず私ですが、門にある仕掛けを施しました」
「どん……な?」
「制限時間内にこの問題を解かなければ、最初の村に強制送還されます」
そう言いながら堕天使は懐からその問題のコピーを取り出した。
そこには、数式の羅列が書かれていた。
「なwwwwにwwwwこwwwwれwwww」
「暗号か?」
「これはミレニアム懸賞問題です」
ミレニアム懸賞問題とは、二十一世紀になったことを記念して、世界の数学教会が出題した超絶難しい懸賞金付き数学問題である。これは、専門家でも解くのに数年かかるor挫折するほどである。
「キ☆チ☆ク☆」
「最初からこれはひどいな(笑)」
「無、……理……」
「そうですか?私には余裕ですよ?」
「…………もういい、次」
呆れながらも先を促す魔王。次に白羽の矢が立ったのは悪魔。
「聞いておどろくなよwwwww俺のは一味も二味もチwwwwガwwwwwウwwwwwwゾ☆」
「いちいち草を生やすな」
除草剤が必要かもしれない。
「おk、把握。ずばり、山のようにでかいプリンを制限時間内に完食しなければ初めからク☆イ☆ナ☆オ☆シ☆」
「どこの○リコだよ。勇者じゃなくて美食屋に仕掛けろよ、それ」
「それ以前に怒られますよ、集○社から」
「問題ない(キリッ)」
「問……題おお、あ……り……」
これ以上やるとマジで怒られそうなので次に移ります。(大丈夫だよね?)
「ぼ……くの、二人…………の……よ、り……すごい」
「ほう?自信があるようだな、言ってみろ」
「(コク)、十字、架を……つけて・……ニ、ニンニ……ク……一個、完…………食……(エヘンプイ)」
「「「…………それだけ?」」」
「死ぬほ……ど…………つ……らい……」
そういえば、吸血鬼はほかの魔族より寿命が長い分まだ若いから、こんなことしか考えることができなかったな……と魔王は思い返していた。
「最後は魔王様ですよ?」
「期待してるよwwwフヒヒwww」
「たの……し、み」
「(悪魔後で殺す)俺のはすごいぞ(ニヤ)」
悪魔の死亡フラグが確定したところで話を始める。
「まず、魔王の間に入った直後に熱湯風呂(5m四方)、上がったところで雪だるまの襲撃、雪だるまを過ぎたら勇者の恥ずかしい過去の写真が世界中にばらまかれ(ライブ中継付き)、仕上げに『バカじゃねーの?』の紙付きの金タライが直撃するまで降り注ぐ」
「「「……うわぁ……」」」
魔王は別の意味で鬼畜だった(笑)
「精神的攻撃……ですか」
「地味かつ強烈で酷いwwww勇者ドンマイwwwww」
「さ……すが(キラキラ)」
様々な意味を込めて、三人は魔王に熱い視線をおくる。
「堕天使と悪魔には負けるさ。さあ、もう一狩りにいこうぜ、今度はナ○ルガで」
なんやかんやで過ぎていく魔王たちの昼下がりであった。
(終わり)
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