黒き薔薇の戦慄―光の先に― 八神羅月
助けて……!
わけのわからない薔薇の園に迷い込んで、体から荊を伸ばす妖しい少女に捕らわれ殺されかける。
この体は、まもなくあの足元に転がるミイラのようになるのだろう。バラバラにひきちぎられて、見る影もなくなって、何も残さず消えていくのだ。
力も、気力も、全身の血液もすべて奪われ、そして奪ったものに支えられて今ここに立っているという事実。
もう、死ぬのかな……
思考能力はゼロに等しく、自然と恐怖は薄れていく。
今も少女は妖しく笑っており、その腕から伸びる荊は、自らの血を吸ってドクンドクンと波打っているけれど……。食い込む棘も、全身を締め付ける荊もそれを止めようとはしないけれど……。空には月が輝き、雲が全てを覆い尽くしているけれど……。雨はやむことなくすべてを濡らし、雨粒は月光に照らされて変わらず輝いているけれど……。
最後の仕上げとばかりに、首に巻きつく荊がぐっとしまる。
忘れていたはずの、傷みが、苦しみが、恐怖が青年の内に蘇ってくる。
ぐきゃっ……!
首の骨が折れる嫌な音を聞いた気がした。
目の前が真っ黒になっていく。
嫌だ嫌だ嫌だ。
死にたくない。
助けてっ!
青年は勢いよく飛び起きた。
周りを見渡せば、そこはいつもの見慣れた自分の部屋で、今いるのはベッドの上。
カーテンの隙間から洩れる朝日がキラキラとまぶしい。
今までのは夢?
それにしてはリアルな夢だったと青年は思った。
本当に夢だったのだろうか。汗で体はびっしょりだし、あの感覚も恐怖もこの身にしっかりと刻まれている。
青年はベッドから出て窓に近寄り、カーテンを開ける。
窓に映った自分の姿を見て青年はぞっとした。
思わず首筋に手をあてる。
本当に夢だったのだろうか?
この首にはくっきりと跡が残っているというのに……
青年の細い首筋には、何重にも巻かれ締め付けられたような、青紫色の跡がくっきりと残されていた。
あとがきっぽいもの すーぱー〜ウェブからこんにちは〜
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ウェブでは初めましてですね。八神羅月です。
今回、冊子からの続きとなるわけですが、いかがでしたでしょうか?
ん、何ですか? 冊子を読んでない? それはいけません! 今すぐ、立命館大学衣笠キャンパス清心館ラウンジもしくは存心館ラウンジに行きましょう! さぁ、ジッポをその手に!
まぁ、一応冊子を読んでなくても大丈夫なようにしたつもりなのですが。
さてさて、二つ用意された結末のうちこちらは「救われた結末」になります。救われてますよね? 若干。ホラーにありがちな夢オチですけど。主人公が死んでないんだから、立派な「救われた結末」だと羅月は主張したいと思います。このセリフでもう一個の結末もなんだか察しがつきますね。
では、この辺で。なんだか平凡な感じで終わりましたが、またお会いできるのを楽しみにしています。